じばんシリーズB 地盤と地震(前編)
軟弱地盤ほどよく揺れる
海岸低地や緩扇状地といった軟弱な土地ほど、地震の揺れが増幅されます。
ユサユサと大きく揺れるのが特徴です。住宅の揺れは、1階よりも2階、2階よりも3階の方が大きく揺れる傾向があります。また、地盤は常に動いています。地震計に使う高精度センサーで計ってみると、地震が無い時でも地盤がわずかに動いていること(常時微動)が判明します。
自動車の通る時の振動、電車の通過する振動、エアコンモーター等などが原因となって常に動いて
いるのです。毎日受ける振動は、健康にも影響するので設計時には振動に関する調査や防止検討を行うようにするのが良いでしょう。
(ナイスリビング:ホームページより)
固有の周期と共振現象
あらゆる物体は必ず振動し、固有の振動数を持っています。 固有の振動数とは、ある振動で揺らされた場合、最も大きく揺れる振動数のことです。
例えば、人間の持つ固有振動数は約8ヘルツ(毎秒8回の振動)と言われています。この振動数になると身体が大きな揺れを感じる為、不快感が発生します。ちなみに自動車や電車の座席などの設計は、8ヘルツにならないような柔らかさと硬さで工夫して設計しています。
建物自体にも固有の振動周期があり、地盤にも固有の振動周期があります、これを「固有周期」といいます。この建物と地盤の固有周期に近づいたり、重なったりするとお互いの力が助け合って揺れが加速され、より大きく揺れるようになります、これを「共振現象」と呼びます。
建物と地盤の関係
例えば、関東大震災時(1923年)の東京では、柔らかい沖積層が堆積した下町では木造住宅の被害が多かったのに対し、硬い土蔵の被害は少なかったようです。
また、反対に山の手と呼ばれる関東ローム台地では、木造住宅よりも剛構造の土蔵が多く被害を受けていました。
ここで起きたことは、地盤の周期と建物の周期とが一致した為に起きた「共振現象」によるものです。
周期が違えば揺れ方も違う
震源から近い場所の方が大きく揺れるとは限りません。
右図の震度分布図ように震源から離れると徐々に震度が下がってきますが、更に遠ざかった場所の方で、また震度が上がっています。
これは、軟弱な地盤と硬い地盤では揺れ方(固有周期)が違う為に起こった
現象です。
下図も同じような現象が起こっています共振させない為には、建物と地盤の周期を一致、又は近づけない様にすることです、予め建物と地盤の周期を調査しておくことが大切です。
十勝沖地震(1968年)
宮城県沖地震(2005年)
◆原稿出典◆ |