じばんシリーズ@ 「不同沈下」とは?
部分的に地盤が硬いところと軟らかいところがある敷地に家を建てる場合や地層が傾斜しているような場合に、より弱い方へ傾いて不均衡な沈みかたをするのが「不同沈下」です。
見た目には、均一な地盤と考えられる場合でも、建物自体の荷重が不均等(部分2階など)である為に、より重い方へ「不同沈下」することもあります。そのために建物にヒビが入ったり、建付けが悪くなるなどの障害が発生します。
不同沈下した家に住み続けると、知らず知らずのうちに平衡感覚が狂ってしまい、自律神経失調症なる場合もあるといいます。
盛土や軟弱地盤を想定した時には、それなりの対応(対策)が可能ですが、 まず、地盤を確認することが重要です。
ピサの斜塔も不同沈下!
世界的に有名なピサの斜塔は、イタリアのピサ大聖堂の鐘桜として1173年に着工されました。しかし、着工時には垂直でしたが、13世紀には傾いていることが発覚しました。その傾斜の原因は、地盤の土質が不均質であったことだと考えられています。
この塔は、200年もの歳月を費やして建設してきましたが、建築中に傾いてきたことがわかると工事を一時中断。次に再開する時には、傾いた塔の上に鉛直に次の階をのせるということを繰り返していく内に、現在のようなカタチになりました。
つまり、この塔は、直線的に傾いているわけではなく、緩やかに湾曲して建っているのです。(高さ:55m/重量:14,453t/地盤にかかる平均荷重:50,7t/現在の傾斜角5,5度)
ちなみに、現在、傾斜の進行は止まっているそうです。
(フリー百科事典「ウィキペディア」より抜粋)
不同沈下の傾きとその影響
小規模建物の不同沈下による障害とその影響について表にまとめました。
段階 |
建物の障害状況 |
傾き具合 |
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鉄筋コンクリート造、鉄骨造 |
木造 |
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初期 |
壁に幾分かの亀裂が発生するが、使用上の障害とならない | モルタル外壁やコンクリート犬走りに亀裂発生 | 1/1000 |
第一期 |
壁に幾分かの亀裂が発生するが、使用上の障害とならない | 束立床に不陸を生じ、布基礎・土間コンクリートに亀裂発生 | 3/1000 |
第二期 |
非たわみ性仕上材の変形の限界。外見上傾斜が気になる | 構造材・窓出入り口枠材の接合部に隙間を生じ、壁に亀裂発生 | 5/1000 |
第三期 |
たわみ性仕上材の変形の限界。床が傾斜して支障をきたす | 柱が傾き、建具の開閉不良、床が傾斜して支障をきたす | 10/1000 |
第四期 |
倒壊の危険あり。床の傾斜の生理的限界 | 柱の傾斜著しく倒壊の危険あ。床の傾斜の生理的限界 | 15/1000 |
出典:住宅基礎の設計ガイドブック(建築技術 別冊)より
簡単に傾きを調べる方法
基礎に入ったひび割れと、住宅の沈下について0,3mm以下の細いひび割れは、沈下との関連は低いと言えます。しかし、0,5mm以上のひび割れは、問題有りの可能性が高いと言えます。
ひび割れを調べるには、0,5mmのシャーペン用意して紙に線を引いてひび割れと比較して見て下さい。また、沈下(傾斜)を調べるには、「ボール落下法」を使います。
ピンポン球かゴルフボールを硬い床等に1m位の高さから落下させます、落下させたボールが跳ね返る方向が一定の場合は沈下が発生している可能性があります。
被害形態 |
判別方法 |
方法 |
判定方法 |
ひび割れ | シャープペン比較方法 | 紙に0,5mmの線を引いて、ひび割れと比較してみる | 0,5mm以上であれば問題となる確率が高い |
傾斜 | ボール落下方法 | ピンポン球やゴルフボールを用意する。1mの高さから床に落下させる(5回以上) | 傾いていれば、かなりの確率で一定の方向に跳ねる |
出典:誰も教えてくれなかった宅地・地盤の話より
◆原稿出典◆ |